佐賀の出版元 出門堂

2008年06月26日

編集見習い日記-その7-

この仕事をするようになってから、他人が書いた手紙を読む機会が随分と増えました。著者の先生方や読者の皆様からいただく手紙、そして編集長からそうした方々に宛てる手紙などが主で、内容も形式もさまざまですがどれも味があり、書いた人の思いが手に取るように伝わってくるものばかりです。
私も書籍や書類を発送する際に手紙を書きますが、なかなか思うように書けず、もどかしい思いをすることがよくあります。簡単な用件を伝えるだけの手紙なのですが、そういうものほどかえって手間取ってしまい、その度に自分の言葉の引き出しがいかに少ないかということを実感させられます。

さて手紙といえば、平川祐弘著『米国大統領への手紙――市丸利之助伝』という本をご存じでしょうか? この本は、絶版となっていた新潮社版を増補改訂、出門堂のシリーズ「肥前佐賀文庫」の記念すべき第1冊目として2006年5月に刊行されました。

海軍航空部隊指揮官であった市丸利之助(唐津出身)は、硫黄島で玉砕する前に、時の米国大統領ルーズベルトへ宛てて日文・英文の遺書をのこしました。「ルーズベルトニ与フル書」と題されたその手紙は、激しい戦火をくぐり抜けていまも米国に現存しています。これほどまでに強い思いが込められた手紙を、私は今までに見たことがありません。

彼が遺した和歌約千首を収めた『市丸利之助歌集』とあわせて、ぜひご一読下さい。



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